種まく人 -いだてん第1部完走ー

今年の大河ドラマは凄い.

というか朝ドラも凄いんだけど,それはまたじっくり語るとして.今日は大河ドラマいだてんについて語ります.

 

いだてんが発表されたとき,大河なのに幕末とか戦国じゃないの?って思っちゃいました.固定概念にとらわれてた.しかもなんで2020年ではなく2019年に?

この作品は,今,見ることに大きな意味がある.そう思った瞬間がこの半年だけでも数えられないほどあった.

 

スポーツとは何か.身体を動かす人,運動を愛する人,応援する人,支える人.

まだスポーツやオリンピックが認知されておらず,女性が外で走るなど考えられなかった時代.そこから現代の日本をつくった人々の信念と生き様を,2つの時間軸と何人もの主人公から描く.宮藤官九郎は素晴らしいと思います.もちろん俳優さん,スタッフの方々も.

 

第1部 金栗四三篇を併走し,考えたこと.

 

現在でこそ選手一人ひとりの情報が(良くも悪くも)伝えられ,彼らが思いをもち,努力してきたからこそのオリンピックの舞台である,ということは少なからず皆が知っていることと思う.しかしそれでも,メダルがとれなかった,結果が残せていない,と結果ばかりに囚われてしまう.選手ではなく,我々が.

結果は大事だけれど,試合でのプロの技や奇跡的なチームワークに心動かされたり,若い世代に未来を想像してわくわくしたり,そんなふうに来年のオリンピックを観戦して応援したいし,多くの人がそうであったらいいと思う.

 

私はこの物語の時代のことを想像もしていなかった.東京にオリンピックが来ると聞いても,人生でそうあることじゃないしラッキーぐらいの感想だった.

でも,いだてんを半年見続けてきて,この人たちの熱い思いと行動が積み重なり,受け継がれていまに繋がっていると思うと,1964年にオリンピックが東京で開かれたこと,そして来年2020年に再び東京で開かれることの重みが,自分のなかで大きく変わってきている.だから,この作品は2019年の大河ドラマなんだね.

 

オリンピックやスポーツとは少し離れて,第22回「ヴィーナスの誕生」でのセリフがとても良かった.どの回にもぐっとくるシーンはたくさんあるんだけど.

竹早の生徒が靴下を脱いで走った問題での,娘と金栗先生がお父さんに放った二つの言葉が特に良かった.

まず娘ちゃんが切った「女らしさは男が決めてる,じゃあ男らしさも女に決めさせろ」という感じの啖呵.いまはだいぶ社会も変わって女らしくとかあんまり言われないようにはなってるけど,痛快だったし,これを言い切ってくれる男性の宮藤官九郎脚本についていきます!

あとこのときの金栗先生が「足を出す女性が悪いのではなく,それを好奇の目で見る男が悪い」と言ったのも,すごいなあと思ったよね.

2つ目は,はしたないと娘に怒るお父さんに対して金栗先生が言った「まず褒めてやらにゃあいかんでしょう」.記録だしたんだもん,怒られるより褒められるべきことだけど,娘の心配が先にたってしまう.自分が親になったとき,心配よりまず褒めてあげられるかなあって,難しいよなあと思ってしまった.忘れないようにしよう.

 

第2章 田畑政治篇も魅力的な人々がでてくるだろうし,いだてん,これからも併走していきます.たのしみ!!

 

 

最後に,オープニングの映像がとても好きです.東京の今と昔,本物のオリンピック映像(NHKなんで)と日常の動作,すごくいいよね.特別だけど特別じゃないお祭りなんだよね!